江戸の南北町奉行所
ところで、南北ふたつの町奉行所があったのは、江戸幕府の制度が複数制を原則としていたからでもあるが、その仕事があまりにも広い範囲におよんでいたからでもあった。南北奉行所は、月ごとに交替し、担当月を月番、そうでない月を非番と呼んだ。月番の奉行所は、門を八文字に開き、非番のほうは、脇の潜戸(くぐりど)を開いておくことになっていた。ただし非番といっても、休みだったわけではない。交替していたのは、新規の訴訟の受け付けだけで、それ以外の、事件の捜査や取り調べ、見廻り、民政にかかわるさまざまな処理など、通常の業務はいつもと変わるところがなかった。また、南町と北町とで担当地域が別れていたわけでもなく、ただ諸業種の問屋については、呉服、木綿、薬種問屋は南町、書物、酒、廻船、材木問屋は北町というふうに受け持ちを分担していたという。こうした分担があった程度で、ほとんど南北での違いはなかったようだ。それだけに南北両奉行所の緻密な連携が必要になる。
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